• 検索結果がありません。

2006年度(平成18年度) | 資料集 | 大分県産業科学技術センター

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "2006年度(平成18年度) | 資料集 | 大分県産業科学技術センター"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

流出油回収処理材の 微生物分解処理技術実用化に関する研究(第2報)

斉藤雅樹

*

・玉造公男

*

・小倉秀

**

・木本弘之

**

・永水堅

***

*

地域資源担当・ **

( 独) 海上災害防止 センター・ ***

ぶんご 有機肥料㈱

Research a nd Development for Utilization and

Biodegradation Disposal

of

Sugi Bark Sorbent

(

2

nd

Report )

M

as aki SAI TO

*

, Ki m

i o TAM

ATSU

KU

RI

*

Sugur u O

G

U

RA

**

, H

i r oyuki KI M

O

TO

**

, Kat as hi N

AG

AM

I ZU

***

*

M

at er i al Sc i enc e and Tec hnol ogy D

i vi s i on

**

M

ar i t i m

e D

i s as t er Pr event i on Cent er ,

***

Bungo Yuki H

i r yo, I nc .

油水から油を除去する資機材である 油吸着材を,杉樹皮を原料として実現する着想は,当センターでの研究を基 礎に平成10年度以降,日本財団などの支援により( 独) 海上災害防止 センターと共同で実用化研究 が行われ,その成

果をもとに,ぶんご有機肥料株式会社 (大分県竹田市)によって製造・販売されている.使用後処分時 における環 境負荷低減を目指し,微生物分解処理技術の研究開発に平成13年度に着手した.本研究ではC重油を吸着させた杉

樹皮製油吸着材 の産業廃棄物用鉄製容器内における微生物分解実験により ,開始時の油分濃度47, 000± 4, 900ppmは, データはバラつきが大きいものの 約50日以降 に5, 000∼20, 000ppmを中心とする 範囲に移行し,128日時点 で5, 000∼

8, 000ppm程度となり ,当初の1/ 2∼1/ 4まで低下することが判明した.

1.

はじめに

我が国に広く分布する「杉」の木は,木材価格の下落 による林業の停滞や花粉症 の蔓延など,これまで 芳しく

ないイメージがあったが,ここへ来て原油価格の高騰や 環境意識の高まりなど社会情勢の変化に伴い,バイオマ

ス資源として再び注目を集めつつある.

その杉を製材する際に大量に発生する杉樹皮を原料と

する油吸着材は,平成9年に発生したナホトカ号事故直後 に開始した当センター での基礎的研究をもとに,( 独) 海

上災害防止センターと共同で,平成10年度に日本財団調 査研究事業として 本格的に開始され,平成12年度に実用

化し,製造が開始された.現在,特許実施許諾先 である ぶんご有機肥料株式会社(大分県竹田市)をメーカーと

して「杉の油取り(すぎのゆとり)」の品名で全国に普 及している.

杉樹皮製油吸着材の特徴は,全国第2位の生産量を誇る 大分県の杉の樹皮部分を原料に用い,従来の石油原料製

品並みの吸油性能 ,価格を実現したところにある .杉樹 皮製油吸着材の生分解性である特徴を活かし,現状の焼

却処分よりさらに 環境負荷 の小さい処分方法,すなわち 微生物によって油と油吸着材とを分解処理する技術の実

現が目標となっている.

平成13年度までの日本財団調査研究事業,平成14∼17

年度の( 独) 海上災害防止 センター 委託事業を行い,使用

後の油吸着材および吸着した油を,微生物活動によって 分解処理する技術の開発を行ってきた

1) 2)

これまで一連の事業で実施している調査研究において 目指しているのは,生分解性を持つ杉樹皮製油吸着材の

微生物分解処理技術・システム の確立である.すなわち , 油濁発生現場から運搬された使用後の油吸着材を,「閉

鎖された空間」において微生物,栄養源,および 活動に 適した環境を与えて,速やかに分解処理を行い,安全基

準範囲内に達した残留物を環境(例えば土壌)に戻す, というものである .当グループでは,バーク堆肥製造工

場における微生物活動ヤードをそのまま適用することを 実用モデルとして 捉え,昨年度まで実験を重ねてきたと

ころである.

今年度は,昨年度までの研究成果でほぼ実用性が確認

された杉樹皮製油吸着材の微生物分解処理技術 について , より低コストで無駄のない システムを開発するべく,従

来と逆の輸送の仕組みについて検討した.すなわち,こ れまで目指してきたモデル は,事故における油などの回

収物を処理場まで運ぶ方式である.しかし,海洋油濁事 故での回収物における油の占める割合は,事故の実測値

で14∼21%程度

3)

,ナホトカ号事故では数%

4)

(2)

そこで,油など回収物 を一旦陸揚げし,近辺に適切な 場所を確保し,そこに微生物分解資材 であるバーク堆肥

の方を運搬し,分解処理を行う方式を検討することとし た.この方式は,すでに昨年度に一部,100m

3

規模のバー

ク堆肥パイルを臨海地域に設け,その場所で油分解処理 を試みており,通常の油分解処理サイトと同様に分解処

理が技術的には可能であることを確認している.今回は 密閉可能でかつ持ち運びが可能な容器(産業廃棄物用鉄

製容器,コンクリートミキサー車)を用いて,その内部 でバーク堆肥による微生物分解処理を行い,油分を減少

させる仕組みについて実験を行い,実用性を確認するこ ととした.

2.

容器内における微生物分解処理実験

2. 1 誤差評価

2. 1. 1 各測定値の誤差評価

各測定値における誤差評価を行った.

バ ー ク 堆肥 の 水 分 率 は実 験 に よ り 62± 3%( 相 対 誤 差

5%)とした.採取したバーク堆肥を105℃の乾燥機に入 れて絶対乾燥状態 とし乾燥重量を測定して当初の水分量

を推算し,水分量/当初重量により算出した. バーク堆肥の嵩比重は実験により0. 37± 0. 01g/ cm

3

(相

対誤差3%)とした.採取したバーク堆肥を2L容器に入れ 重量を測定し,算出した.

ホイールローダのバケット 容積は,バケット形状から, 2± 0. 2 m

3

(相対誤差=10%)とした.数値はメーカーカ

タログによる.

C重油および吸着マット浸漬用の大型容器の計量は十

分精度の高い機材を用いたため,誤差は無視できるもの とした.また,サンプリングに起因する誤差については

実験により相対誤差68%とした. 2. 1. 2 油分濃度の誤差評価

これまで述べた各誤差要因を総合する.独立な複数要 因が重なるときは誤差を二乗和で算出している.

初期にC重油を投入したことにより付加された油分は, ホイールローダのバケット (相対誤差 =10%)での作業

回数(例えば20 m

3

の場合10回)により求めたバーク堆肥 パイル容積,バーク堆肥の嵩比重(相対誤差=3%),投

入C重油の重量(相対誤差≒0)から求めているため,相 対誤差=10%と考えられる.

また,実験期間における油分測定にはn- ヘキサン抽出 重量法用いるが,バーク堆肥そのものが含んでいるn- ヘ

キサン可溶物も同時に「油分」として 検出されるため, C重油投入前のバーク堆肥についても 「油分濃度 」を測

定 し て お く 必 要 が あ る ( こ れ を バ ッ ク グ ラ ウ ン ド と 呼 ぶ ) .今 回の 測 定 値 は, 2, 100ppm- dr y , 800ppm- wet (相

対誤差65%)と,比較的高めの数値を示している. 以上より,実験開始段階すなわち初期の油分濃度は,

投入C重油によるものとバックグラウンドを合計した値 と考えることが出来るが,この相対誤差は二乗和平均に

より,11%と算出される.

各測定時点における推定油分濃度は, n- ヘキサン抽出

重量法により得られた実測値から,バーク堆肥からのC 重油回収率77%(相対誤差=4%)で除し,水分率(相対

誤差5%)からdr y換算することによって求めるため,相 対誤差=6%と考えられる.また,サンプリングにおける

誤差を算入すると ,各測定時点における推定油分濃度は 相対誤差=68%となる.また,バーク 堆肥自身の持つ溶

媒溶出分 (2, 100±1, 400ppm- dr y )も 誤差を 考慮し ,グラ フ上で帯表示とした.油分濃度の低い測定値では影響が

大きいため,結果の評価において注意が必要である. 2. 2 実験の方法(実験1)

鉄製容器内のバーク堆肥原料の中に吸油後の油吸着材 を埋め込み,バーク堆肥原料で被覆した後,定期的に攪

拌(切り返し)を行い,油分濃度の変化を調査した.用 いた鉄製容器 は,汎用のアームロール用鉄製容器であり ,

内寸は,長さ7. 8m× 幅2. 35m× 高さ1. 6m,容量29. 3m

3

のも のである.この内部に吸油後の吸着マット(杉樹皮製油

吸着材)と共に,容器の7分目(高さ1. 1m)までバーク堆

肥原料を充填した(バーク堆肥容量20. 1m

3

,約7. 5t ).概

念図をFi g. 1 に示す.

実験のフィールドは,㈱大総(大分市 )の産業廃棄物

処理場敷地内に設けた.攪拌にはクラムシェルなどの重 機を用い,バーク 堆肥の上側からすくい取ったものを容

器内で順次移動させる 方法で行った.頻度は約2週間に1 回であり,この際に油分測定のための サンプリングも同

時に行った.

以下の手順に従って,吸着マットをバーク堆肥に埋め

込んだ.

・大型容器(ドラム缶)を計量する

・大型容器に吸着マットを入れる

・大型容器に計量したC重油を注ぎ,吸着マットに吸

着させる

・吸油後の吸着マット を大型容器から取り出し各パイ

ル断面に規定枚数並べる

・大型容器内のC重油の減量分を計量する

・バーク堆肥断面に吸着マットを並べ終わるとバーク 堆肥で規定の間隔(高さ)だけ被覆し,順次上の断

面に移り,同様の作業を行う

(3)

に吸着させて実験に供した.バーク堆肥はホイールロー ダ の バ ケ ッ ト で 容 積 を 計 量 し た 約 20. 1m

3

( 相 対 誤 差 =

10%)ほどを用いた.嵩比重が約0. 37(相対誤差=3%) であることから約 7. 4± 0. 7t ( 2. 8± 0. 3t - dr y に相当)で

あると推定される .バーク 堆肥原料は発酵開始から数ヶ 月経過した微生物活動の活発なものと ,昨年度までの油

分分解実験に供した分解残留物を混合したものを 実験に 使 用 した (油 分 濃 度 2, 100ppm- dr y ,800ppm- wet ,相 対 誤

差65%).作業の様子をFi g. 2 に示す.

バーク堆肥全体の実験開始時の油分濃度の平均値は約

47, 000± 4, 900ppm- dr y(18, 000± 1, 900 ppm- wet )と推定 される.

Fi g. 1 容器内への吸着マット設置の概念図

Fi g. 2 吸着マットを並べる様子(実験 1)

バーク堆肥は製造工程 において,好気発酵に要する酸 素供給のために定期的 に攪拌(切り返し)を行っている .

活発な微生物活動に資するため,本実験においても2週間 に1回の頻度で攪拌を行った.クラムシェルなどの重機を

用い,バーク堆肥パイルの上側からすくい取ったものを

容器内で順次移動 させる方法で行った.なお,バーク堆 肥と埋め込まれた 吸着マットは同様に扱って撹拌した.

また,攪拌の際に油分測定 のためのサンプリング も同時 に行った.バーク堆肥を均等に3セクションに分け,セク

ション毎に均等に3断面に分け,各断面 から3箇所ずつサ ンプリングを行った.

測定項目は以下のとおりとした.

①油分濃度(n- ヘキサン抽出重量法):

2 週間に 1 回程度(攪拌時毎),128 日後まで計測

②目視観察など(油の臭気,手指への油分付着など)

③パイル内の温度(2 週間に 1 回)

油分の測定は n- ヘキサンによるソックスレー抽出を用

いた.①の分析作業は㈱住化分析センターに,③は近畿

環境興産㈱が行った.①の油分濃度については「1」で

述べた誤差評価に照らした数値で検討した.温度の測定 は,セクションごとに 3 箇所の測定点においてけるパイ

ル表面から 60∼70cmの深さ地点にて行った.

2. 3 実験の方法(実験 2)

常時移動可能であり,かつ常時攪拌も可能である汎用

装置であるコンクリートミキサー車に着目し,このタン

ク内を微生物分解処理の実験場所とし,吸着マットに吸 わせたC重油を投入したバーク堆肥をタンク内に投入し

て試験的に油分解の実験を試みることとした.

バーク堆肥原料の中に吸油後の油吸着材を埋め込み,

十分に攪拌した後,コンクリートミキサー車のタンク容

器に投入する.その後,2 週間に 1 回の定期的攪拌(切り 返し)を行い,油分濃度の変化を調査した.実験装置で

あるコンクリートミキサー車の設置場所として,バーク

堆肥工場敷地(大分県竹田市)の一部を借り受け使用す

ることとした.

攪拌はコンクリートミキサー車のタンクを回転させる

ことで行った.頻度は約 2 週間に 1 回である.また,2∼

4 週間に 1 回程度,油分測定のためのサンプリングを行っ

た.なお,吸着マットのバーク堆肥パイルへの埋め込み

は別に地上で行い,その後,クラムシェルにてタンク内

に投入した(Fi g. 3).

用いた油はC重油 42. 5kg(約 47. 2L,比重 0. 9)で,製

品版の「杉の油取り」マット型(45cm x 45cm)合計 50

枚に吸着させて実験に供した.バーク堆肥は約 5. 0m

3

(相

対誤差=10%)ほどを用いた.嵩比重が約 0. 37(相対誤

差=3%)であることから約 1. 9± 0. 2t (0. 7± 0. 07t - dr y に相当)であると推定される(油分濃度 2, 100ppm- dr y,

800ppm- wet ,相対誤差 65%).

バーク堆肥全体の実験開始時の油分濃度の平均値は約

63, 000± 6, 400ppm- dr y(24, 000± 2, 400ppm- wet )と推定 される.

高さ 1. 1m

バ ー ク 堆 肥 を 均 等

に 5 層に分け、間の

4 断面に吸着マット

各 50 枚ずつを設置 バーク堆肥

アームロール用鉄製容器

そ れ ぞ れ の 断 面 に 、 外 輪 縁

を 30cmあけ、中央部に重なら

ないように 合計 200 枚のマッ

ト を 置 く 。 ( バ ー ク 堆 肥 全 体 サイズ:長さ 7. 8m× 幅 2. 35m

× 高さ 1. 1m、20. 1 m

3

(4)

Fi g. 3 タンクに投入する様子(実験 2)

2. 4 実験の結果(実験 1)

実験開始時(0 日,油投入直後)における計算上の油 分濃度は,約 47, 000± 4, 900ppm- dr y である.1 回目のサ

ンプリングは最初の攪拌が行われた開始後 2 週間時点に

行った.既に吸着マットの原形はほとんど留めておらず ,

マット内に含まれるパーライトの存在により,原位置が

判明する状況であったが,一部で十分にバーク堆肥に被 覆されていないものがあり,マット形状を留めているも

のも散見された.

この後,2 週間ごとに行う攪拌時にサンプルを採取し,

それぞれの油分濃度を測定した.油分濃度の変化を Fi g. 4(相対誤差=6%で表記),Fi g. 5(同 68%)に示す.

0 10000 20000 30000 40000 50000 60000 70000 80000 90000 100000 110000

0 50 100 150

DAY

p

p

m

S ec tion A

S ec tion B

S ec tion C

0 day (E xp.5) c alc ulated value

Fi g. 4 油分濃度の変化(実験 1,相対誤差 6%)

0 10000 20000 30000 40000 50000 60000 70000 80000 90000 100000 110000

0 50 100 150

DAY

p

p

m

S ec tion A

S ection B

S ection C

0 day (Exp.5) c alc ulated value

Fi g. 5 油分濃度の変化(実験 1,相対誤差 68%)

相対誤差 6%で表記した Fi g. 4 ではバラつきが大きく

各地点の値のエラーバーが重ならない部分がある.測定

値から真の値を推測する上では,サンプリング要因を加

味して相対誤差 68%で表記した Fi g. 5 を採用した方が 妥当と思われる.概して測定値のバラつきが大きいが,

Fi g. 5 では油分の減少傾向をエラーバーの範囲内で読み

取ることができ,サンプリング要因によるバラつきと解

釈することが可能である.一方,最終の 128 日時点では

測定値のバラつきが小さくなっている.原因として,微

生物分解が進んで油塊が小さくなることや攪拌回数が増 えてバーク堆肥内の油分濃度がより均一になることなど

が考えられる.しかし,これ以外の値はバラつきが大き

く,128 日時点の測定値(5, 000∼8, 000ppm程度)のみを

もってこれ以降の傾向を判断することは難しい.

計算上の開始時の油分濃度は約 47, 000± 4, 900ppm- dr y であり,その後,この値を下回る測定値がほとんどであ

る.また,開始直後の各地点における油分濃度の最良推

定値はバラつきが大きいものの,徐々に減少し,50 日付

近で 5, 000∼20, 000ppmを中心とする範囲に移行する.一

方,86 日時点で特異的に高い値が検出されており,また,

100 日時点近辺でも 20, 000ppm前後の値がいくつか確認さ

れている.このため,減少傾向は認められるが,特異的

に高濃度の油分を有するバーク堆肥の塊状部位が点在し

ている可能性も考えられる.

(5)

0 10000 20000 30000 40000 50000 60000 70000 80000

0 50 100 150

DAY

p

p

m

S ec tion A

S ec tion B

S ec tion C

0 day (Exp.6) c alc ulated value 油の臭気であると判別可能な程度に感じられた.約 100

日後は臭気が変化しており,もとの投入物が重油である

ことを知らない人間には油の臭気どうか判別がつかない

状態に変化していた.この時点で手指への油の付着は感

じられず,周囲の水溜りに油膜は観察されなかった. 次に,バーク堆肥パイル内の温度変化を Fi g. 6 に示す.

実験当初からバーク堆肥の活性な状態とされる 60∼70℃

前後ではなく,40∼45℃前後となった.その後,徐々に

温度が低下する傾向が見られ,開始後 86 日経過時点から はほぼ 20℃以下を推移し,112 日時点以降は 10℃前後と

なった.温度が低下する原因は,微生物活動の低下,外

気温の低下などが考えられる.

なお,今回(実験 1)の温度変化の傾向は,昨年度まで

に実施した 100m

3

規模の実験と比して概ね 30℃程度低め

であることが大きく異なっている点である.理由として は明確ではないが,実験規模が 1/ 5 程度であり,ある程

度の堆積が必要とされるバーク堆肥の微生物活動が期待

されるほどに活発に行われていないことが考えられる.

その原因としては,規模の小ささによる温度や水分の安

定性欠如や,バーク堆肥形状(直方体=6 面体)の 5 面ま でが遮蔽されていることによる酸素供給不足,また,今

回の実験の初期の油分濃度がこれまでで最も高いことも

関係している可能性がある.

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0 50.0

0 50 100 150

DAY

Point No.1

Point No.2

Point No.3

Fi g. 6 バーク堆肥パイル内の温度変化(実験 1)

2. 5 実験の結果(実験 2)

実験開始時(0 日,油投入直後)における計算上の油

分濃度は,約63, 000± 6, 400ppm- dr yである.この後,約2 ∼4週間ごとにサンプルを採取し,それぞれの油分濃度を

測定した.油分濃度の変化をFi g. 7(相対誤差=6%で表 記),Fi g. 8(同68%)に示す.

0 10000 20000 30000 40000 50000 60000 70000 80000

0 50 100 150

DAY

p

p

m

S ec tion A

S ec tion B

S ec tion C

0 day (E xp.6) c alc ulated value

Fi g. 7 油分濃度の変化(実験2,相対誤差6%)

Fi g. 8 油分濃度の変化(実験1,相対誤差68%)

実験1と同様に,相対誤差6%で表記したFi g. 7 ではバ

ラつきにより各地点の値のエラーバー が重ならない部分 があり,サンプリング要因を加味して相対誤差68%で表

記 し た Fi g. 8 を 採 用 し た 方 が妥 当 と 思 わ れ る .Fi g. 8 では油分の減少傾向をエラーバーの範囲内で読み取るこ

(6)

ことが可能である.

この実験結果は,昨年度も含め,これまでの実験に比

べて大きな特徴がある.それはグラフ 上で見る限り,非 常に安定した,変動の少ないデータであるということで

ある.50日以降は10, 000ppm以下の値となっている.しか し,初回の測定値である19日時点においても3つの測定値

のうち,2つまでは10, 000ppm以下の値であるため,にわ かにこのデータが「油分の減少傾向」であるのかどうか

は判断 がつきかねる.実験開始時点の 63, 000± 6, 400ppm は計算上の値であり,実測値どうしの 比較ではそれほど

大きな変動がないとも言える.

この原因として,まず攪拌方式が考えられる.これま

での実験のクラムシェルやパワーショベルでのパイル攪 拌に比して,本実験ではコンクリートミキサー車のタン

クを回転させる攪拌方式であり,バーク堆肥内が一様に なりやすいことは 容易に想像がつく.加えて,全方位が

壁に囲まれた状態であるため,それらの壁に粘調なC重 油が付着したために,初回測定値から低い油分濃度が検

出されたのではないかという疑念がある.つまり ,分解 されて油分が減少したのではなく,付着したことが原因

である可能性である.それを裏付けるものとして ,温度 変化のデータがある.50日以降のタンク内温度は8∼13℃

であり,バーク堆肥の通常の発酵適温 とされる範囲から 大きく逸脱している.このため,本実験における 低い油

分値の解釈は微生物分解そのものよりも主に他の要因に よるものではないか,と考えられる.

しかし,特筆すべきは 安定して油分が測定されている ことであり,これがコンクリートミキサー車特有 の優れ

た攪拌機能に依るものであるとすれば ,今後のバーク堆 肥による油分解方式の改良に示唆を与える現象として注

目すべきであると考えられる.

3.

まとめ

本研究により得られた知見は以下のとおりである.

・産業廃棄物 に使用される鉄製容器での実験においては ,

杉樹皮製油吸着材に吸着させたC重油は,20. 1m

3

バー

ク堆肥における微生物分解処理により,開始時の油分 濃度 47, 000± 4, 900ppmは約 50 日以降に 5, 000∼

20, 000ppmを中心とする範囲に移行し,128 日時点で

5, 000∼8, 000ppm程度となり,当初の 1/ 2∼1/ 4 まで低

下することが判明したが,データはバラつきが大きい ため,明確に油分が減少すると断言するには今後の実

験を待つ必要があると考えられる.また,攪拌方式に

ついて課題があると考えられる.

・試験的要素が強い内容として実施した汎用コンクリー

トミキサー車における実験においては,杉樹皮製油吸

着材に吸着させたC重油は,5m

3

バーク堆肥における微

生物分解処理により,開始時の油分濃度 63, 000±

6, 400ppmは 50 日以降は 10, 000ppm以下の値となった.

しかし,初回の測定値である 19 日時点においても

10, 000ppm以下の値であり,油分が減少傾向にあるのか どうかは現状では判断がつきかねる.一方,安定して

油分が測定されている特徴が見られ,優れた攪拌機能

に依るものであり,バーク堆肥による油分解方式の改

良に示唆を与える現象として注目される.

すでに微生物分解処理技術は,製造,使用,処分時に

おける熱処理が原則として不要な環境負荷の低い油回

収・処理システムとして実用性がある程度確認されてい

る.社会に広く受け入れられるために,今回,実現の可

能性を検討した「バーク堆肥のデリバリー方式」につい ては,実施規模やパイリング方式などさらに検討が必要

な課題があげられるものの,成否を決める範囲が一部明

らかになったと言える.

引き続き,「杉樹皮」という生分解性材料から成る環

境負荷の低い油吸着材および微生物分解処理技術のさら なる研究開発を進め,社会還元を目指すこととしたい.

本研究に支援を頂いた日本財団に御礼申し上げます. また,貴重な助言を頂いた同財団・山田吉彦氏,東京大

学・山口一教授に御礼申し上げます.

参考文献

1) 斉藤雅樹他:流出油回収処理材の微生物分解処理技

術実用化に関する研究,平成 17年度大分県産業科学

技術センター研究報告,2006

2) 斉藤雅樹他:杉樹皮製油吸着材の微生物分解処理技

術に関する研究,平成 16年度大分県産業科学技術セ

ンター研究報告,2005

3) ( 独) 海上災害防止センター:杉樹皮製油吸着材の有

効利用及び微生物分解処理技術に関する調査研究報 告書Ⅱ, 第 4 章, 2005

4) 内藤林 他:ナホトカ号の事故に関する調査研究報告

書 ( ナ ホ ト カ 号 の 事 故 に 関 す る 調 査 研 究 会 編 ) ,

参照

関連したドキュメント

世界レベルでプラスチック廃棄物が問題となっている。世界におけるプラスチック生 産量の増加に従い、一次プラスチック廃棄物の発生量も 1950 年から

第12条第3項 事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他 人に委託する場合には、その運搬については・ ・ ・

成 26 年度(2014 年度)後半に開始された「妊産婦・新生児保健ワンストップ・サービスプロジェク ト」を継続するが、この事業が終了する平成 29 年(2017 年)

導入以前は、油の全交換・廃棄 が約3日に1度の頻度で行われてい ましたが、導入以降は、約3カ月に

平成 28 年度は、上記目的の達成に向けて、27 年度に取り組んでいない分野や特に重点を置

z 平成20年度経営計画では、平成20-22年度の3年 間平均で投資額6,300億円を見込んでおり、これ は、ピーク時 (平成5年度) と比べ、約3分の1の

(2) 産業廃棄物の処理の過程において当該産業廃棄物に関して確認する事項

産業廃棄物の種類 排    出   量. 産業廃棄物の種類 排